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 診療時間 

午前 9:00~12:30
午後 2:30~6:00

 休診  日曜・祝日・木曜午後・土曜午後
※診療の予約は不要です(MRIの予約は可)
※必要に応じて当日のMRI/CT検査も行います

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天気痛
気象頭痛

Weather changes


気象関連片頭痛 Migraine caused by weather changes

当院の研究では、片頭痛発症の誘因として、ストレスや疲労の次に68%の患者が気象変化を挙げました。

気象変化として風速、降水量、日照時間、雷など様々なものがありますが、片頭痛に特に影響を与える因子としては、「気圧」「気温」「湿度」の3つです。

片頭痛と気圧の関連については、気圧低下や上昇による悪化など報告は様々です。台風が日本に接近して通過するまでの気圧の変動と頭痛発生について検討した研究では、標準大気圧1013hPaから6〜10hPaの微小な気圧低下時に最も片頭痛が発症しやすいという結果でした。北太平洋沖で台風が発生すると、50Paほどの微気圧変動がさざ波のように3000km離れた日本にも押し寄せて頭痛を引き起こす可能性があるのです。

片頭痛と気温の関連についても、暑さ、寒さ両方による影響が報告されています。また梅雨時期の頭痛の増加は湿度が誘因かもしれません。


3Y療法 3-P therapy

このような気象に関連して発症増悪する気象関連片頭痛に対しての治療戦略として、当院では、予防(prevention)、予兆(premonitory symptoms)、予測(prediction)を合わせた3Y療法(3-P therapy)を提唱しています。


予兆療法 Premonitory symptoms

片頭痛の患者の多くは頭痛発作の直前に首や肩が凝ったり、光や音に過敏になる等の予兆を経験します。当院ではここに着目し、予兆期に服用して頭痛発作を阻止あるいは軽減させる予防的頓挫療法である予兆療法を提唱しています。

予兆療法は頭痛発作を直前に回避するため精神的な不安も軽くなります。頭痛発作が減ると鎮痛薬の飲みすぎの防止になります。また予防薬のように毎日服用する必要がないので試しやすい治療です。

イメージ


片頭痛の経過と治療戦略

片頭痛の経過と治療戦略 片頭痛の経過と治療戦略

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気象予測 Weather prediction

予兆期よりもさらに前段階の頭痛の誘因自体に目を向けることにより、頭痛発作が起こるのをあらかじめ予測した段階で頭痛発作を阻止する予防的頓挫療法を行うことが可能となります。
いろいろな誘因の中でも気象からの予測は比較的に簡単に出来る方法であり、天気予報が最も身近な予測材料となります。

近年は、気圧の変化を表示するアプリが提供されているので、自分の頭痛と気象変化とのすり合わせが行いやすくなっています。ウェザーニューズ社のWEBサイト(ウェザーニュース)は大規模調査による発症予測モデルを構築して「天気痛予報」と名づけた発症予測情報サービスを提供しています。

予兆療法第1弾

「天候の変化による予兆時におけるジフェニドールを用いた片頭痛発作回避療法」

を第44回日本頭痛学会総会(2016年10月京都)および頭痛学会誌にて発表しています。


【発表内容要旨】

片頭痛患者に対して予兆に関するアンケート調査を実施し、さらに天候の変化による予兆時にジフェニドールを投与して、片頭痛発作を回避する効果を検討した。調査対象は前兆のない片頭痛295例および前兆のある片頭痛39例の計334例である。322例(96%)の患者に首や肩の凝り、光過敏音過敏、疲労感などの予兆が見られた。
ジフェニドール投与後に調査を行った73例を効果判定の対象とした。頭痛発作の回避は、2回に1回以上35例、2回に1回以下28例の計63例(86%)にみられ、54例(74%)において痛みの軽減がみられた。ジフェニドールを用いた片頭痛発作回避療法は、片頭痛の新たな治療戦略となる可能性がある。 (日本頭痛学会誌,43:358-362,2017)

予兆療法の第2弾

「天候の変化に対する片頭痛予兆療法」
Preventive treatment of migraine during prodrome caused by weather changes

を第46回日本頭痛学会総会シンポジウム(2018年11月神戸)にて発表しました。


【発表内容要旨】

片頭痛には多様な誘発因子があるといわれており、気圧、気象、湿度、温度、風、雷などの天候の変化は重要な環境因子としてよく知られている。近年、局所的豪雨などメディアを中心に異常気象の報告が増えている。気象庁によると異常気象とは30年に1回以下のかなりまれな気象現象のことを指すが、近年は地球温暖化などの影響を受けて、激しい気象という概念に変化しつつある。夏の熱波、冬の豪雪、異常少雨や異常多雨、強大化する熱帯低気圧などによる災害も増えている。このような異常気象時代においては、片頭痛の症状の悪化、多様化、および慢性化などが懸念されるため、我々はこれまでより1段高いステージから片頭痛治療におこなう必要に迫られている。片頭痛治療の主体となるのは薬物治療で、急性期治療と予防療法がある。急性期治療は頭痛期に服用して片頭痛発作を消失させることが求められるが、片頭痛患者の多くが片頭痛発作の前に首や肩が凝る、光や音に過敏になる等の予兆を経験する。我々は天候の変化による片頭痛予兆時に抗めまい薬であるジフェニドール塩酸塩を投与して、片頭痛発作を回避あるいは軽減する効果を報告した(日本頭痛学会誌,43:358-362,2017)。本発表では片頭痛の新たな戦略である片頭痛予兆療法について解説し、さらに予防(prevention)、予兆(prodrome)、予測(prediction)の3-Y療法(3-P therapy)についても言及する。


各種メディアにこの記事が掲載されています。

予兆療法の第3弾

「バルプロ酸を使用した片頭痛予兆療法」

を第46回日本頭痛学会総会(2018年11月16日神戸)および頭痛学会誌にて発表しています。


【発表内容要旨】

片頭痛患者に対して片頭痛の誘因と予兆に関する実態調査を実施し、予兆期にバルプロ酸を投与して頭痛発作を阻止させる予防療法(予兆療法)の効果について検討した。調査対象は前兆のない片頭痛311例および前兆のある片頭痛104例の計415例である。片頭痛の誘因は、ストレスや疲労、天候の変化、睡眠不足・睡眠過多の順であった。305例(85%)において予兆の自覚から2時間以内に頭痛が出現した。また95例を効果判定の対象として、頭痛発作の阻止は2回に1回以上48例(51%)、2回に1回以下が34例(31%)、痛みの軽減は69例(73%)にみられた。本療法は、片頭痛の新たな治療戦略となる可能性がある。(日本頭痛学会誌, 46:219-224, 2019)

予兆療法の第4弾

「片頭痛の予兆期にプロプラノロールを用いた予防的頓挫療法(予兆療法)の可能性について」

を第47回日本頭痛学会総会(2019年11月16日浦和)および頭痛学会誌にて発表しています。


【発表内容要旨】

片頭痛患者に対して予兆期にプロプラノロールを投与して頭痛発作を阻止させる予防的頓挫療法(予兆療法)の効果について検討した。対象は前兆のない片頭痛43例および前兆のある片頭痛13例の計56例である。頭痛発作の阻止は2回に1回以上の有効29例(52%)、2回に1回以下のやや有効が25例(31%)、痛みの軽減は18例(32%)、やや軽減は26例(46%)にみられた。本療法は、片頭痛の新たな治療戦略となる可能性があると考えられた。(日本頭痛学会誌,48:571-579、2022)