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午前 9:00~12:30
午後 2:30~6:00

 休診  日曜・祝日・木曜午後・土曜午後
※診療の予約は不要です(MRIの予約は可)
※必要に応じて当日のMRI/CT検査も行います

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メディア情報

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【Vol.157】新しい片頭痛治療(11)

Q)気象頭痛を持っていませんか?(6)

A)昨年11月の日本頭痛学会総会で、「片頭痛を誘発する気象条件について」という演題で発表しました。発症の誘因となる気象因子としては天候、気圧、気温、湿度がよく知られています。当院の研究では、気圧の影響は片頭痛患者様全体の82%でみられました。降雨前で気圧が低下する時点が70%と最も高く、雨天で低気圧の続く時点が44%、天気が回復し、気圧上昇する時点が25%でした。初期の気圧低下が、最も片頭痛の発症に影響を与えるといえます。さらに、気圧変化で片頭痛を誘発する患者群は、めまいを伴う割合が高くみられ、内耳にある気圧センサーが過敏だと考えられます。
また、気温の影響も全体の76%と高く、気温上昇が62%、気温低下が40%でした。湿度の影響は湿潤が60%と高く、梅雨時期は要注意です。


【Vol.156】新しい片頭痛治療(10)

Q)今を見直す片頭痛予防、先を見据えた片頭痛予防

A)頭痛回数が月に15日未満の場合を反復性片頭痛、月に15日以上の場合を慢性片頭痛と呼びます。また反復性片頭痛は月に8日未満の低頻度と月に8以上の高頻度とに分けられます。高頻度になると慢性片頭痛と同程度に社会生活や家庭生活に重大な支障をきたします。低頻度反復性片頭痛は、頭痛頻度が多くなるほど高頻度反復性片頭痛や慢性片頭痛へ移行しやすくなります。つまり頭痛回数が少なくても、頭痛時のみに急性期治療薬で対処するだけでなく、頭痛回数の発生そのものを抑えていないと、将来的に頭痛が慢性化していく方向へ向かう危険性があります。CGRP関連抗体薬は、片頭痛発生に直接関与するCGRPの働きを抑えて、現在の頭痛日数を減らすのみでなく、将来的な頭痛の慢性化を防ぐ可能性もあるのです。


【Vol.155】新しい片頭痛治療(9)

Q)今を見直す片頭痛予防、先を見据えた片頭痛予防

A)片頭痛により日常的に家庭、仕事、学校や社会活動が妨げられます。職場では、集中力が低下し仕事の効率が悪くなる「プレゼンティズム」や、頭痛のために仕事を休んでしまう「アブセンティズム」の状態となります。さらに、頭痛がない「発作間欠期」においても、いつも朝から不快感、倦怠感、集中力低下、霧がかかる感じがして、日々の生活にさまざまな影響をきたします。
片頭痛発作時は三叉神経からCGRPという神経ペプチドが放出されます。CGRP関連抗体薬は、CGRPの働きを抑え、発作が起こるのを抑える新しい注射薬です。頭痛回数軽減だけでなく、発作間欠期にも晴れ間が広がるクリスタル・クリア効果が期待され、当たり前の日常生活を変えてくれる可能性があります。


【Vol.154】新しい片頭痛治療(8)

Q)片頭痛ヨガはどのようなものですか?

A)近年片頭痛治療におけるヨガの有効性を示した複数の研究報告がなされています。ヨガは呼吸をコントロールすることで、体内のエネルギーの流れや質を変えることができ、息を吸い込むと交感神経、吐き出すと副交感神経の活動を増大させます。交感神経は体を活動状態、副交感神経は体を休息状態にしようとします。ヨガは自律神経のバランスを整え、後頸部の筋群をほぐすことで脳へ良い刺激が送られ、片頭痛を予防する可能性があります。
筆者は、ヨガインストラクター沖祥子先生の監修の元、初心者でも簡単に、5分以内の短時間で、狭いスペースで座ったまま、どんな服装でもできる、をコンセプトにした片頭痛発作予防に特化したオリジナルプログラムを考案しました。スマートフォンで2次元コードを読み取り、筆者が実演して指導を行う動画をご視聴ください。


【Vol.153】脳ドックと脳卒中・認知症予防

Q)脳ドックの役割はどのようなものですか?

A)日本脳ドック学会には、2019年より「脳卒中・認知症予防のための医学会」というサブタイトルがつけられました。超高齢化社会になった現在、脳ドックに対する社会的要望は脳卒中予防だけでなく、認知症予防の比率が高まっているためです。今後は、まだ健常な時期から認知機能状態を正確に把握し、生活習慣病等のリスク管理を積極的に行う仕組みが脳ドックに求められています。脳ドック学会においては、無症状の小さな病変まで検出する性能を持つMRI機器の使用、専門医による画像読影、紙面のみでない直接対面での受診結果の説明と指導に加えて、認知機能検査や、頸動脈超音波検査を行うコースも設定することが学会認定施設の基準となっています(県内4施設)。75歳未満の山口市国民健康保険の方は簡易脳ドックも利用出来ます(2022年度は12月20日まで)。


【Vol.152】新しい片頭痛治療(7)

Q)気象関連片頭痛を持っていませんか?(5)

A)気圧の影響で頭痛が起こりやすい人は、耳の奥の内耳にある気圧を感じるセンサーが過敏になっています。片頭痛の予防のためには、気圧の変動や片頭痛の予感がするタイミングで内耳の血行をよくしてセンサーの感度を下げる必要があります。まずは耳のマッサージがおすすめ。両耳を手でつまんで5秒間上下や横に引っ張ったり、つまんだまま回したり、両耳を包み込むように曲げたりします。続けて、手のひらで耳全体を覆い、円を描くように前から後ろに5回ゆっくり回します。両耳全体をホットタオルで温める耳温熱や、ツボの刺激も内耳の血行を良くします。耳の後ろにある骨の指1本後ろの窪みにある「完骨」や、首の後ろ、髪の生え際の窪みにある「風池」を人差し指で軽く押します。両手の内側、手首の付け根から指3本下にある「内関」は自律神経に作用して内耳の働きを調節します。


【Vol.151】新しい片頭痛治療(6)

Q)気象関連片頭痛を持っていませんか?(4)

A)前日比、日内変動、室内外などでの寒暖差は皮膚の温度センサーを介して自律神経が温度調節しますが、7℃以上の差では過剰なエネルギーの消費で寒暖差疲労を生じやすく、全身倦怠感、気分不良、肩こりだけではなく片頭痛の誘発因子にもなります。日常生活に適度な寒暖のリズムを作り、自力で体温調節ができる身体づくりを心がける必要があります。夏は冷房を効かせ過ぎないようにして、直接風を身体に当てず、扇風機、サーキュレーターなどを活用し、外気を取り入れます。入浴はぬるめの38〜40度の風呂に10〜15分浸かり、体を温めます。また内蔵を冷さないよう極端に冷たい飲み物ばかりを飲むのは避け、常温の食事を摂るようにします。唐辛子を多く含んだ料理は、辛味成分であるカプサイシンが脳に作用して発汗を促し、体温を低下させようとするため、真夏に特にお勧めです。


【Vol.150】新しい片頭痛治療(5)

Q)気象関連片頭痛を持っていませんか?(3)

A)梅雨になると体の重だるさやむくみ、食欲不振、消化不良など体調が悪くなる人がいます。湿度が75%を超えると汗が蒸発しにくくなり、身体に熱がこもり熱中症のような状態になります。湿度上昇は片頭痛誘発の因子にもなります。東洋医学では体調不良を引き起こす湿気を「湿邪」、水の巡りが悪く、余分な水を溜め込みやすい体質を「水滞」と呼びます。日頃から基礎代謝を上げるトレーニングをして、汗をかきやすい体をつくることが大切です。1日15〜20分のジョギングがお勧めです。梅雨時期にお勧めの食材は利尿作用のあるキュウリやスイカ、ゴーヤなどの瓜類、黒豆や鳩麦などの豆類、発汗作用のあるセロリ、ネギ、生姜などの香味野菜、唐辛子などの香辛料です。トマト、ナス、トウモロコシなどの夏野菜は胃腸の機能を高めますが、生で食べると体を冷やすので、加熱調理をお勧めします。


【Vol.149】新しい片頭痛治療(4)

Q)気象関連片頭痛を持っていませんか?(2)

A)当院の研究では、片頭痛発症の誘因として、ストレスや疲労の次に68%の患者が気象変化を挙げました。気象変化として風速、降水量、日照時間、雷などがありますが、片頭痛に特に影響を与える因子は、「気圧」「気温」「湿度」の三つです。片頭痛と気圧の関連については、気圧低下や上昇による悪化など報告は様々です。台風の接近から通過までの気圧変動と頭痛発生についての研究では、標準大気圧1013hPaから6〜10hPaの微小な気圧低下時に最も片頭痛が発症しやすいという結果でした。また北太平洋沖で台風が発生すると、50Paほどの微気圧変動が3000km離れた日本にも押し寄せて頭痛を引き起こす可能性があるのです。片頭痛と気温の関連についても、暑さ、寒さ両方による影響が報告されています。また梅雨時期の頭痛の増加は湿度が誘因かもしれません。


【Vol.148】新しい片頭痛治療(3)

Q)気象関連片頭痛を持っていませんか?(1)

A)2021年のノーベル物理学賞を米プリンストン大学上席研究員である真鍋淑郎氏が受賞しました。真鍋氏は気象の予測モデルを作り、地球温暖化が人類の活動によって起きることを科学的に裏付けた功績が認められました。1967年の論文では、二酸化炭素の濃度が2倍になると、地球の平均気温がおよそ2.3度上がると予測されています。近年は世界的にも気象変動に関心が向けられています。「日本の気候変動2020」によると、日本国内の観測点においても二酸化炭素の大気中濃度は増加を続ける一方、平均気温も100年あたり1.15℃の割合で上昇しており、猛暑日の日数も増加しています。また、降水では時間降水量50ミリリットル以上の短時間豪雨の頻度は増加傾向にあります。気候変動による気温上昇や短時間豪雨、強大化する熱帯低気圧等により、片頭痛の症状の憎悪化、変容化、慢性化、遷延化が懸念されます。