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午後 2:30~6:00

 休診  日曜・祝日・木曜午後・土曜午後
※診療の予約は不要です(MRIの予約は可)
※必要に応じて当日のMRI/CT検査も行います

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メディア情報

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【Vol.33】 おじいちゃんがあたまをぶつけた

Q)祖父が最近歩くのがふらついて意欲がありません。1ヶ月前に転倒して頭を打ったのですがなにか関係があるのでしょうか?

A)慢性硬膜下血腫を疑う必要があります。慢性硬膜下血腫とは、頭を打った後の慢性期(3週間以降)通常1~2ヶ月後に脳とその表面の硬膜とのすき間に、静脈の破綻などにより血液(血腫)が貯まる病気で、血腫が脳を圧迫して様々な症状がみられます。慢性硬膜下血腫は通常高齢の男性で、特に大酒家に多く見られます。またアスピリンやワーファリンなどの血液をサラサラにする薬を服用している場合も血腫ができやすくなります。典型的な例としては、頭部外傷後数週間症状がない時期を経て、頭痛、嘔吐、手足のまひやしびれ、言語障害、高齢者の場合は呆けや意欲の低下、歩行障害などをきたします。
頭部外傷は鴨居にゴツンと頭をぶつけた程度の軽い場合も多く、本人が頭を打ったかどうかさえ覚えていないこともしばしばです。また、精神症状をきたすと認知症と間違われる可能性もあるので注意が必要です。
受傷直後の検査でたとえ頭の中に出血はしていないと言われても、数週間後に気になる症状があれば再度受診するようにしてください。


【Vol.32】 こどもがあたまをぶつけた(2)

Q)子どもが頭を強く打ったのですが、「たんこぶ」ができたので大丈夫でしょうか?

A)小児が頭を打った場合「こぶ」ができたら大丈夫というのは、医学的根拠のない間違った情報です。強く頭を打った場合は「こぶ」の有無に関わらず病院へ受診する必要があります。
小児の頭部外傷後、ぶよぶよした柔らかいこぶができることがあります。骨と皮膚の間の帽状腱膜や骨膜は薄く結合が弱いため、帽状腱膜血腫や骨膜下血腫が起きやすいのです。このような頭皮下血腫は日数が経つと液化してぶよぶよしてくるのですが問題はありません。
しかし同じ頭皮のぶよぶよでも骨折がある場合は要注意です。骨の下の硬膜を傷つけて、脳脊髄液が漏れだして「頭皮下髄液漏」をおこす可能性があるからです。また3歳未満で頭部に骨折があった場合は成長の過程で骨折線が閉鎖しなくなる可能性がありますので、経過観察しなければなりません。
このように骨折の有無は重要ですが、骨折がなければ大丈夫というわけではありません。乳幼児では頭蓋骨も薄く外力に対して変形しやすく、骨折がなくても脳損傷が起こりやすいのです。


【Vol.31】 こどもがあたまをぶつけた(1)

Q)子どもが頭を強く打ち、すぐに泣きだしたのですが大丈夫なのでしょうか?

A)小児が頭を打った場合、意識が悪い場合やけいれんを起こした場合はもちろんですが、顔色が悪い、嘔吐する、ぐったりとしてすぐに寝てしまう、よく泣く、お乳の飲みが悪い、元気がない、普段となんとなく様子が違う等の場合も病院へ行くようにしてください。ただし小児は頭部外傷後に吐きやすく、嘔吐の有無がかならずしも重症度を反映するものではありません。
病院を受診される場合、伝達しなければならない大切な情報は「けがの日時と時刻」、「意識障害の有無」、「受傷機転(どこでどのようにして何に頭をぶつけた)」です。打ってすぐに泣いたから大丈夫だとは言えませんが、受傷直後に「意識障害」はなかったということはわかり、脳への直接的なダメージが比較的軽かったことが想像されます。ただし外傷直後に意識があり元気にしていても、数時間~数日後、なかには数週間後に症状がでることもありますので、しばらくはお子さんの様子を注意して観察してください。


【Vol.30】 簡易脳ドックを知っていますか?

Q)国民健康保険の場合、簡易脳ドックが受けられると聞いたのですが。

A)「脳ドック」は、脳卒中になる前に危険因子を発見して、その発症や進行を防ぐことを目的とした脳の健康診断です。脳ドックにより、無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)、未破裂脳動脈瘤、無症候性脳腫瘍などがみつかることがあります。
脳ドックのメニューはMRIとMRA(血管撮影)が中心となります。血管撮影といっても造影剤は使わないので、痛みや危険を伴わず検査をおこなえるのが特徴です。
脳ドックのおいて重要なのは、受診結果の十分な説明と納得、万が一異常が発見された場合の適切な指導や治療による対応です。身内に脳疾患の既往がある人、高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病がある人、責任のある立場の方のリスクマネジメント等に特にお勧めします。
山口市の国民健康保険の場合は1割の個人負担で受診が可能です。脳ドックをおこなっている医療機関とあらかじめ日程の調整をし、脳ドックを受ける10日前までに保険証をお持ちの上、各総合支所国保担当窓口又は出張所・支所でお申し込みください。新しい山口市民のかたも上手に利用してください。

脳ドックの詳細については「脳ドックのご案内」ページをご覧ください。


【Vol.29】 突然の激しい頭痛にご用心(その3)

Q)くも膜下出血を予防する方法はあるのでしょうか?

A)くも膜下出血をきたす危険因子としては喫煙、高血圧、過度の飲酒があります。また近親者にくも膜下出血の既往があるという遺伝的な要因もあげられています。くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤ですが、頭痛やめまいなどでMRIやCT検査をうけたり、脳ドックを受診したりして、破裂する前に見つかる瘤(未破裂脳動脈瘤)があります。未破裂脳動脈瘤が見つかった場合、開頭によるクリッピング術や血管内手術の予防的治療を受けることが可能です。しかしながら、脳動脈瘤は必ず破裂するわけではなく、破裂せずに生涯をおくられる方もいます。脳動脈瘤の破裂率は年間1%程度(100人の中で1年間に1人破裂する確率)と報告されています。一方、予防のための治療にも合併症があり、5~10%程度と報告されているため、慎重に治療を選択する必要があります。手術をせずに経過を追うのも選択肢の1つですが、最低6ヶ月から1年にI度は瘤の大きさの変化を確認することが大切です。動脈瘤の大きさが5mm以上のもの、形がいびつなものは特に注意が必要であると思われます。

治療については「頭痛外来」ページ をご覧ください。


【Vol.28】 突然の激しい頭痛にご用心(その2)

Q)くも膜下出血になった場合、どのような治療がなされるのでしょうか?

A)くも膜下出血の多くは脳動脈瘤の破裂が原因ですが、いつまでも出血が続くのではなく病院へ運ばれた時にはたいていの場合止まっています。しかし発症直後は再出血を来すことが多いため、十分な鎮痛と鎮静、さらに血圧を下げる必要があります。その上で再出血を予防するため脳動脈瘤の処置をおこないます。予防的処置としては、開頭による外科的治療あるいは開頭を要しない血管内治療がおこなわれます。外科的治療は動脈瘤の根元を金属ではさむネッククリッピング術を、血管内治療は動脈瘤の内側からプラチナ性コイルを毛糸の玉を巻くように詰める瘤内塞栓術をおこないます。通常は外科的治療がおこなわれ、高齢者など手術や麻酔のリスクが高い場合に血管内治療が選択されますが、最近では血管内治療が選択される症例が増えています。しかし重症の場合は手術ができず、手術ができたとしても麻痺や意識障害などの重大な後遺症を残すことも往々にしてあります。くも膜下出血全体での死亡率は約10~67%と報告されており、この病気の怖さを物語っています。

治療については「頭痛外来」ページ をご覧ください。


【Vol.27】 突然の激しい頭痛にご用心(その1)

Q)くも膜下出血の頭痛はどのようなものでしょうか?

A)脳は内側から、軟膜、くも膜、硬膜という3層の膜によっておおわれています。脳脊髄液で満たされた、軟膜とくも膜の間の「くも膜下腔」に出血するのが、くも膜下出血です。発症の原因として最も多いのは、脳の表面、つまりこの「くも膜下腔」を走る太い血管にできた脳動脈瘤の破裂です。動脈瘤とは動脈の一部がこぶ状に膨らんだもので、その血管壁は薄く不完全なため破裂しやすいのです。
くも膜下出血の頭痛の特徴は“いつ”始まったとはっきりわかる激しさです。頭痛の経過は、だんだん痛くなるのではなく、一瞬にしてピークに達する激しい痛みがし、ガンガンした痛みが持続します。また頭痛を訴えたあと、吐き気や嘔吐、意識障害をきたすことが非常に多いのです。多くの患者さんは症状が重篤で救急車で病院へ運ばれるのですが、なかには少量の出血のため頭痛が軽い時もあります。「かぜ」による頭痛くらいに思われて外来を受診し、CT検査ではじめて見つかる場合もあるのです。
“今まで経験したことのない突然の激しい頭痛”には注意が必要です。

治療については「頭痛外来」ページ をご覧ください。


【Vol.26】 脳梗塞注意報(その7)

Q)脳梗塞を起こした後の治療はどのようなものでしょうか?

A) 脳梗塞発症から1ヶ月以降の「慢性期」治療の目的は、脳梗塞の再発防止です。一度脳梗塞を起こした患者さんは再発しやすく、再発率は年間数%から10%前後と報告されています。再発防止には、最大の危険因子である高血圧の管理がなにより重要です。脳梗塞後は脳血流が低下しないよう、緩やかに時間をかけて 140/90mmHg未満にコントロールする必要があります。また血栓を防ぐ抗血栓療法を行います。いわゆる、血液を“サラサラ”にする薬です。脳血栓症にはアスピリン(商品名:バイアスピリン)、チクロピジン(商品名:パナルジン)などの抗血小板薬、脳塞栓症にはワーファリンという抗凝固薬が用いられます。これらの薬剤の服薬中は止血されにくくなるため、抜歯、内視鏡検査、手術などを受けるときは、数日間の休薬が必要な場合があります。またビタミンKの豊富な食品はワーファリンの効き目を弱めることがあるため、キャベツやほうれん草などの緑黄色野菜は控えめにし、納豆、クロレラ、青汁は避けるようにしましょう。なお、アスピリンやチクロピジンに関しては、そのような制限はありませんのでご安心を


【Vol.25】 脳梗塞注意報(その6)

Q)脳梗塞になった場合、早期の治療開始が重要なのはどうしてでしょうか?

A)脳梗塞の治療は発症から2週間目くらいまでの「急性期」と、1ヶ月以降の「慢性期」で異なります。
「急性期」治療の目的は、血管が詰まってしまい、血流がとだえた脳が脳梗塞になるのを防ぐことです。血栓溶解療法は、詰まった血管の血栓を溶かすことによって、血液の流れを再開させます。特に最近、心筋梗塞の治療に使われていた組織プラスミノーゲンアクチベータ製剤(T-PA)という血栓溶解剤の、急性期脳梗塞に対する使用が認可され、治療の選択肢が広がりました。但し、T-PAは発症から3時間以内の投与が必要なため、治療を開始するまでの迅速な対応が求められます。血流がとだえてから時間がたち壊死した脳の組織は、動脈が再開通しても機能の回復は望めません。MRI・CTで梗塞巣がはっきり出現した部分は、回復が困難になっていると言えます。
血栓溶解療法以外にも、脳の組織を保護する脳保護療法、脳のむくみを解消する抗脳浮腫療法、二次血栓の形成を防ぐ抗血栓療法などがあります。これらの治療法は脳梗塞による後遺症を最小限に軽くするのを目的としているのです。


【Vol.24】 脳梗塞注意報(その5)

Q)脳梗塞で倒れた人を見かけたら、どのように対処したらよいでしょうか?

A)脳梗塞の発作を起こした人がいたら、周囲の人は落ち着いて対処し、まず倒れた人を安静な状態にしてください。その際、ネクタイやベルトなどは緩め、ボタンをはずして首まわりを楽にしてあげてください。枕はせず、タオルケットなど軽い寝具をそっとかけてあげましょう。
次に意識や麻痺の程度などの容態をすみやかに観察してください。意識がない場合は、呼吸の有無を確かめます。呼吸をしていなかったり、あえいでいるときは、あごを突き出させて舌の付け根がのどに落ち込まないようにし、気道(空気の通り道)を確保します。また、吐き気を訴えたり、吐いたときは、頭を身体ごと横に向け、吐いた物が気管につまらないようにしてあげましょう。麻痺がある場合は、麻痺している側を上にして、静かに横にしてあげてください。倒れている人を安静にしたら、すぐに救急車の手配をしましょう。たとえ症状が軽い場合であっても、速やかに医療機関へ受診させてください。脳梗塞の急性期の治療は時間との勝負であり、時間が経ってからでは充分な機能の回復が望めないからです。