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午前 9:00~12:30
午後 2:30~6:00

 休診  日曜・祝日・木曜午後・土曜午後
※診療の予約は不要です(MRIの予約は可)
※必要に応じて当日のMRI/CT検査も行います

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メディア情報

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【Vol.87】「脳ドック」へ行ってきました(その2)

Q)脳ドックで“隠れ脳梗塞”が見つかったのですが

A)脳ドックにおいて無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)が発見される頻度は5.9~16.3%で年齢が高くなるとともに増加します。しかし年齢的なものだから放置してよいというものではありません。無症候性脳梗塞がある場合は、ない場合よりも脳卒中をおこす危険性が10倍高くなるというデータがあるため注意が必要です。無症候性脳梗塞の最大の危険因子は高血圧であり、まずは血圧の管理が重要です。血液をサラサラにする抗血小板薬は出血の副作用を無視できないため、全ての無症候性脳梗塞に適しているわけではありません。頸部超音波検査やMRA(脳血管撮影)をおこない、頭の中や首の血管の狭窄などの異常のある例や高血圧・糖尿病など複数の危険因子を併せ持つ例などが抗血小板薬の適応となります。脳血管の異常がない場合も年1回定期的に検査して経過観察する必要があります。無症候性脳梗塞が発見されても過度に心配するのではなく、高血圧などの危険因子の治療への動機付けとすることが大切です。


【Vol.86】「脳ドック」へ行ってきました(その1)

Q)脳ドックとはどのようなものですか?

A)「脳ドック」は、脳卒中になる前に危険因子を発見して、その発症や進行を防ぐことを目的とした脳の健康診断です。脳ドックにより、無症候性脳梗塞(隠れ脳梗塞)、未破裂脳動脈瘤、無症候性脳腫瘍などがみつかることがあります。
脳ドックの検査項目はMRIとMRA(血管撮影)が中心となります。血管撮影といっても造影剤は使わないので痛みや危険はありません。脳ドックのおいて重要なのは、万が一異常が発見された場合の適切な指導や治療による対応です。身内に脳疾患の既往がある人、高血圧・高脂血症・糖尿病・喫煙・肥満などの危険因子がある人、責任のある立場の方のリスクマネジメント等に特にお勧めします。
山口市の国民健康保険に加入されている74歳までの方は2割の個人負担で「簡易脳ドック」の受診が可能です。本年度の実施期間は6月1日から12月20日までです。脳ドックを行っている医療機関とあらかじめ日程の調整をし、脳ドックを受ける10日前までに保険証をお持ちの上、各総合支所国保担当窓口又は出張所・支所でお申し込みください。


【Vol.85】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(16)

Q)片頭痛の治療についておしえてください。

A)片頭痛の急性期の頭痛発作にはトリプタンや鎮痛薬を使用しますが、つらい頭痛発作が月に何度も起こる場合には予防療法を併せて行います。また頭痛の回数は少なくても頭痛の程度がひどくクオリティ・オブ・ライフ(QOL)を損なうような人、発作に対する不安感や恐怖感が強い人、脳梗塞・心筋梗塞などの合併症や副作用のためトリプタンなどの急性期治療が行えない人にも予防療法は勧められます。予防療法によって、頭痛発作の頻度を減らし、痛みの程度を軽くするなどの効果が期待できます。予防療法で使用される薬剤は、降圧薬、抗てんかん薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬など非常に多彩です。片頭痛に高血圧、てんかん、うつ、喘息などの病気を併せ持つ場合は双方を治療できる薬剤を選択します。予防療法の効き目を評価するには少なくとも2ヶ月を要します。片頭痛のコントロールが良好になれば、徐々に予防薬は減量して中止も可能です。また効き目が悪い場合は他の薬剤への変更を考慮します。


【Vol.84】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直して II(15)

Q)片頭痛の治療についておしえてください

A)中等度以上の片頭痛の発作に対する急性期治療としてはトリプタンが推奨されています。トリプタンは鎮痛薬と比べて強い薬だと誤解されている方がいます。鎮痛薬は見かけの痛みを抑えるだけですが、トリプタンは炎症物質を抑えて痛みを消失させる薬だと言えるでしょう。トリプタンを痛みがひどくなってから使用したけれど効かなかったという感想を聞くことがあります。トリプタンは片頭痛の早期に服用したほうが最も効果的なのです。ただし片頭痛の予兆や前兆の時点で服薬した場合は効かない事もあり、自分にあった服薬のタイミングをみつけることが必要です。現在トリプタンは5種類あり、副作用が少ない初心者向けのタイプ、即効性のあるタイプ、効き目の強いタイプ等があります。また錠剤以外に、水なしで服用する口腔錠、嘔気時に使える点鼻薬、即効性で効果の強い自己注射薬があります。1種類のトリプタンを使用して効果がなかった場合は、別の種類や剤形を試してみるのもひとつの方法です。


【Vol.83】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(14)

Q)片頭痛の薬物治療についておしえてください

A)片頭痛を完治させることは難しいのですが、適切な治療により頭痛発作を消失させ、頭痛の頻度を減らすことは可能です。片頭痛治療の主体となるのは薬物治療です。薬物治療には急性期治療と予防療法があり、個々のライフスタイルや頭痛発作の程度に合わせてテイラーメイドの治療を選択します。
2000年に片頭痛の特効薬であるトリプタン系の薬剤が認可されて、片頭痛の急性期治療は格段と進歩しました。頭痛は頭の血管の拡張と炎症により「痛み物質」が放出されることが原因です。鎮痛薬は、「痛み物質」が痛みの信号を脳に伝達するのをブロックする作用があります。しかしどんどん「痛み物質」が作り出されると鎮痛薬ではとても追いつかなくなります。トリプタンの場合は、頭の血管を収縮させ片頭痛の原因である炎症を抑え「痛み物質」の放出を抑制するため、頭痛の完全な消失を可能にするのです。また鎮痛薬に見られる胃腸障害が少ないのも利点です。トリプタンは市販薬ではなく、医師の処方箋が必要な薬です。


【Vol.82】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(13)

Q)“頭痛ダイアリー”はどのような日記ですか?

A)頭痛を攻略するためには、まずは「自分の頭痛を知る」ことです。そこでおすすめしたいのが “頭痛ダイアリー”です。記録をつけることで、記憶だけではわからなかったことや、自分でも気づかなかったことなどがわかるようになるのです。
いつおこったのか、どんなふうに痛むのか、どんなきっかけでおこったのか、どの程度の痛みなのか、痛みはどのくらい続いたのか、薬を飲んだかどうか、薬は効いたかどうかなどを記録します。記録を参考にして頭痛の傾向をつかむことで、頭痛が起こる誘因を避けることが出来ます。また頭痛ダイアリーをもって医療機関にかかれば、医師に症状を的確に伝えることも出来ます。
さらに、食事内容やイベントごと、睡眠時間や生理について簡単に記入してもいいでしょう。「こんな食材がきっかけで頭痛が起こる」とか、「寝過ぎた日は頭痛がおきやすい」など、思わぬ発見があるかもしれません。
頭痛ダイアリーは日本頭痛学会のホームページ(https://www.jhsnet.net/)からもダウンロードできます。


【Vol.81】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(12)

Q)片頭痛の前ぶれはどのようなものですか?

A)片頭痛持ちの人の中には、頭痛が起こる前に「前兆」や「予兆」と呼ばれる前ぶれがある人がいます。最も多い「前兆」は“閃輝暗点”と呼ばれる症状で、目の前で光がキラキラする、視野の中にギザギザした明るい模様が見られる、視野の一部がかけるなどがあげられます。これが5~60分程度続いた後に、激しい頭痛がおこるのです。前兆には閃輝暗点だけでなく、体がしびれたり、しゃべりにくくなる症状もあります。ただし脳梗塞の前ぶれでもこれらの症状はおこりますので、一度検査を受けられることをお勧めします。
このような前兆は一部の人にしかみられませんが、「何となく頭痛がきそうだ」という「予兆」はたいていの人に現れます。例えば「肩がこる」「生あくびが出る」「眠気を感じる」「食欲が増す」「甘いものが食べたくなる」「イライラする」「気分がよくない」「体がむくむ」といった状態です。特に、片頭痛が起こる前に肩こりがひどくなる人が多く「肩こりからくる頭痛」と間違われることもあるのです。


【Vol.80】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(11)

Q)片頭痛を誘発しやすい料理はありますか

A)片頭痛の患者さんには和食系の料理はお勧めですが、イタリア料理や中華料理はあまりお勧めできません。まずはイタリア料理ですが、食前に出される赤ワインはポリフェノールという血管拡張物質を含んでいます。次にイタリア料理に好んで使われるオリーブオイルやチーズ、さらにデザートのチョコレートにも血管拡張物質であるチラミンが大量に含まれています。また中華料理にふんだんに使われるうま味調理料であるグルタミン酸ナトリウムに血管を拡張させる作用がみられ、中華料理を食べ始めると頭が痛くなる症候を総称して中華料理症候群と呼ばれます。さらにホットドック頭痛といって、ハムやソーセージに含まれる亜硝酸ナトリウムという保存料も血管を拡張させることが知られています。またダイエット飲料等に使用される人工甘味料のアスパルタームで頭痛が誘発される場合もあります。ただし片頭痛と食品の関係は個人差が大きく、日本人は比較的鈍感との意見もあります。あくまでも悪条件が重なった場合が危険信号と言えそうです。


【Vol.79】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(10)

Q)片頭痛を予防する料理はありますか

A)片頭痛の患者さんには和食系の料理がおすすめです。和食には片頭痛に予防効果があるとされるマグネシウムやビタミンB2が多く含まれる食材を使った料理が多いのです。
マグネシウムには血管収縮を起こす「血小板の凝集」を抑制して、脳血管の緊張を改善する作用があります。
大豆には多くのマグネシウムが含まれますので、納豆、豆腐、味噌汁が食卓に並んだ和朝食は頭痛に最適です。醤油のかかったほうれん草のおひたしを添えるとよりいいでしょう。大豆以外には黒豆にも多く含まれます。
また御飯に関して、玄米は白米に比べてマグネシウムやビタミンB群、食物繊維を豊富に含んでいます。最近の炊飯器では簡単においしく炊くことが出来ますので是非試して下さい。
ひじき、わかめ、のり等の海草類にも多く含まれます。魚貝類ではほたてやカキに豊富です。
おやつにはアーモンド、カシューナッツ、落花生等のナッツ類がおすすめです。
またビタミンB2は肉類では牛、豚、鶏のレバー、魚類ではうなぎ、さば、ぶり、いわしに多く含まれています。


【Vol.78】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(9)

Q)片頭痛の誘因はどのようなものですか?

A)年末年始にひどい頭痛で寝込んでいたと言われる女性の患者様が外来で多く見受けられます。実は年末年始は1年の中で片頭痛の発作が起きやすい時期の1つです。大晦日は1年のほこりをおとす大掃除をして、さらにおせち料理作りと大忙しで気が張っているため脳の血管は収縮しています。そして元旦の朝、ゆっくりお昼近くまで寝ていると、緊張が緩んで血管が拡張してしまいひどい頭痛発作を引き起こすのです。さらにお正月早々親戚などの来客がある場合は、朝からおもてなしの準備に追われて食事を摂る間もなく緊張状態が続くため、反動もより大きくなり低血糖も血管拡張に拍車をかけます。また夫婦どちらかの実家で正月を過ごす場合も要注意です。夫の実家へ行く場合は嫁の立場での緊張があり、自分の実家で過ごす場合は逆に気が緩みすぎてしまい、どちらも頭痛発作の火種となりかねません。今年の年末は早めに準備を始めて、来年のお正月は御家族だけで静かに過ごされるのもよいかもしれません。