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※診療の予約は不要です(MRIの予約は可)
※必要に応じて当日のMRI/CT検査も行います

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メディア情報

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【Vol.97】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(24)

Q)緊張型頭痛は雲をつかむような頭痛?

A)緊張型頭痛の症状は実に多彩です。頭痛、頭痛感に始まり、首や肩の凝り、めまい・ふらつき、全身倦怠感、易疲労感、目がぼーっとする等の他にも、手の痺れ、動悸、胸痛、息苦しさ、喉のつまり、顔面頭部の異常知覚、消化器症状、不眠等の症状が出てくることもあるのです。まさにとらえどころのない頭痛といえましょう。
緊張型頭痛がおこるメカニズムですが、末梢性要素と中枢性要素があります。末梢性要素は身体的ストレスが加わると頭蓋筋の持続的収縮がおこります。それが長引くと乳酸やピルビン酸などの疼痛誘発物質が遊離して頭痛を引き起こすのです。いわゆる肩こりから来る頭痛です。中枢性要素は精神的ストレスがあると大脳辺縁系を介して脳幹脊髄にある三叉神経運動核に作用して、疼痛知覚の閾値が低下して頭痛が増悪するしくみです。緊張型頭痛はこの両者が絡み合って、より複雑な病態を示すようになるのです。
頭痛発作が月15日以内の反復性緊張型頭痛は末梢性要素が、月15日以上の慢性緊張型頭痛は中枢性要素が主な役割をはたしています。


【Vol.96】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(23)

Q)緊張型頭痛は雲をつかむような頭痛?

A)緊張型頭痛は日本では成人の22%、2200万人が悩んでいる一番身近な頭痛です。緊張型頭痛は雲のように全体像のはっきりしない、とらえどころのない頭痛と言えましょう。片頭痛やその他の頭痛は病気のアウトラインがはっきりしています。それに対して緊張型頭痛は一定の特徴を持ちながらもさまざまな要因が重なり、おぼろげなアウトラインを形成しているのです。
雲は雲でも筋斗雲といえば孫悟空ですが、緊張型頭痛は孫悟空の禁錮のように頭を締めつけられるような痛みに例えられます。
片頭痛の診断基準は片側性、拍動性、重症、身体的動作での憎悪、悪心・嘔吐、光過敏、音過敏ですが、緊張型頭痛の診断基準は丁度その裏返しになっていて、両側性、非拍動性、軽症、動作で悪化しない、悪心・嘔吐はない、光過敏・音過敏は少なくても片方しかありません。つまり緊張型頭痛は大局的には片頭痛でない一次性頭痛を示しているといえます。
なお女性のほうが男性よりも有病率が高く、肥満、運動不足、喫煙が危険因子になります。


【Vol.95】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(22)

Q)子どもの片頭痛について教えてください

A)片頭痛の子どもは低血圧気味のことが多いため、よく立ちくらみをおこします。また乗り物酔いをしやすいのも共通しています。また体育や部活の時間に頭痛がしてきて保健室で休むことが多くなります。運動をすると脳の血管が拡張するため、片頭痛の発作が起きやすくなるからです。
子どもの頭痛に対しては、安全性を考慮して鎮痛薬を使用しますが、頭痛の状態によってはトリプタン(片頭痛専用の薬)を使用する場合もあります。また吐き気が強い場合は制吐薬の投与も考えられます。頭痛の発作時間が短い場合はあえて薬を飲ます必要はありませんが、頭痛を必要以上に我慢させるのはよくありません。学校などにも薬を持参させ、頭痛あるいは前兆が始まったらできるだけ早く服用させるのもコツです。頭痛時に休息や睡眠をとらせるのも効果的なので、担任の先生に理解しておいてもらうことも大切です。片頭痛の発作の頻度が多かったり、学校や幼稚園を休みがちなどの場合は、頭痛を起こりにくくしたり痛みの程度を軽くするための予防薬を使用します。


【Vol.94】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(21)

Q)子どもの片頭痛について教えてください

A)片頭痛は大人の病気で子どもにはないと思われている方も多いのではないでしょうか? しかし、片頭痛は子どもにもよくみられる頭痛で、早い子どもでは幼稚園くらいから頭痛発作が起こるようになります。身体が小さいからといっても、大人の片頭痛と同様にひどい発作をきたしてつらい思いをしているのです。子どもの片頭痛は、大人の片頭痛と比べて発作が始まるのが非常に急で、持続時間も過半数が3時間以内と短いのが特徴です。また、大人と比べてズキンズキンといった拍動性がはっきりしない、痛む場所の左右差がはっきりしないことが多いようです。また嘔吐や下痢などの腹部症状が強いことがあげられます。国際頭痛分類でも子どもの自家中毒(周期性嘔吐症)や腹痛発作(腹部片頭痛)は片頭痛の一型に含まれ、将来大人型の片頭痛に移行する可能性が高いのです。
片頭痛を正確に診断するうえで二次性頭痛の鑑別は重要で、MRI、CT、脳波などをおこなうこともあります。なお片頭痛は遺伝性が強く、母親が片頭痛持ちの場合が多く見られます。


【Vol.93】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(20)

Q)女性のライフサイクルと片頭痛について教えてください

A)片頭痛は年代と共に痛みの性質が変わっていく慢性進行性の病気と考えられています。更年期以降、女性ホルモンの衰退と共に片頭痛に典型的な拍動性の痛みからどんよりした重苦しい痛みに変わりやすくなります。また精神的ストレスや肩こりなどの身体的ストレスが重なると共に、頚椎の変形によって筋や筋膜に負担がかかってきて緊張型頭痛を合併しやすい時期でもあります。片頭痛の発作の頻度が増えて毎日のように頭痛をきたすようになると、「変容型片頭痛」と呼ばれることがあります。その中には鎮痛薬の飲み過ぎが原因となる「薬物乱用頭痛」が含まれます。通常更年期を過ぎると、痛みに対する脳の過敏性が低下するため徐々に片頭痛の発作は減少していきます。ところが鎮痛薬の乱用を続けることにより、脳の過敏性が徐々に増してきて通常は感じないような軽い痛みまで感じとるようになり、鎮痛薬の効果が切れると痛み出すという悪循環を招くのです。薬物乱用頭痛になると、更年期を過ぎても頭痛に悩まされるのです。


【Vol.92】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(19)

Q)女性のライフサイクルと片頭痛について教えてください

A)妊娠中は片頭痛の発作が軽減することがわかっています。妊娠中は女性ホルモンの変動が少なくなるからです。それでも妊娠半ばまで片頭痛発作をおこすことがあり、薬剤使用時期が問題となります。最終月経初日から27日目(妊娠3週末)までは無影響期のため片頭痛治療薬を使用しても特に心配ありませんが、妊娠4週からは胎児の器官形成時期のため薬剤の使用は控えます。この時期は、部屋を暗くして頭を冷やすなどの対処療法をおこないます。急性期治療薬として完全に安全とされる薬剤はありませんが、発作が重度で治療が必要な場合はアセトアミノフェンが推奨されています。また片頭痛の予防薬も避けた方がよいでしょう。
一方、出産後は1ヶ月以内に半数以上の患者で片頭痛が再発しています。授乳中は薬剤の母乳への移行が問題となるため、基本的には薬は避けるべきです。トリプタンもわずかに母乳へ移行するのですが、スマトリプタンは服用後12時間経過した後に排乳したうえで授乳すれば問題ないとされています。


【Vol.91】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(18)

Q)女性のライフサイクルと片頭痛について教えてください

A)片頭痛は、男性と比べると女性の方が約4倍多いと言われています。片頭痛は女性ホルモンと関係が深く、思春期以降の女性に圧倒的に多くなるためです。
月経は片頭痛の誘因としてあげられます。片頭痛持ちの女性の約半数は、月経に関連して片頭痛が起こることを自覚しています。この月経時片頭痛は月経開始2日前から月経3日目までに多く、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが急激に下がることが誘因だと言われています。月経時に起こる発作は他の時期に比べ痛みが重度で持続時間が長く、治療抵抗性で日常生活への影響が大きいのが特徴です。月経時片頭痛の急性期治療としてはトリプタンが勧められますが、トリプタンを早期に服用しても効果が十分でない場合には鎮痛薬を併用すると効果的です。月経時に常に片頭痛発作がある場合は、この期間だけをねらった短期予防療法等もおこなわれます。
また女性ホルモンと言えば、経口避妊薬の服用により片頭痛がおこったり発作がひどくなったりする場合もありますので注意しましょう。


【Vol.90】あなたの、いつもの頭痛を見つめ直してII(17)

Q)片頭痛の発作時にコーヒーや紅茶が効きますか?

A)軽い片頭痛なら、コーヒーや紅茶などのカフェインを含んだものを飲むと症状が軽くなることがあります。これはカフェインの血管収縮効果によるものです。痛みがきそうと思った時点で、早めに飲むのがコツです。ただし1日200mg以上のカフェインを摂取していると、カフェインが切れた際にカフェイン離脱頭痛がおこる可能性があります。カフェインはコーヒー1杯あたり50~100mg、お茶では玉露160mg、煎茶20mg、番茶10mg、紅茶30mg程度含まれます。またドリンク剤、鎮痛薬、風邪薬などにも含まれますので摂り過ぎには注意しましょう。
ところで、フィーバーフューというハーブにも片頭痛に対する予防効果があります。キク科の植物で日本名は夏白菊、その名のとおり、夏に白い可憐な花を咲かせます。有効成分のパレテノライドが、片頭痛の引き金となるセロトニンの放出を抑えると言われています。1600年代のイギリスでも治療に使われており、日本頭痛学会の治療ガイドラインでも推奨されています。(注:妊娠中、授乳中の方は飲用しないでください)


【Vol.89】「脳ドック」へ行ってきました(その4)

Q)脳ドックで“脳腫瘍”が見つかったのですが

A)脳腫瘍の年間の発生頻度は1万人に1人と言われています。脳ドックでは良性腫瘍が多く見つかります。髄膜種は代表的な腫瘍の一つで、脳の外側の硬膜から発生します。脳ドックのガイドラインでは無症状の場合は当初6ヶ月毎2回、以後年1回のMRIによる経過観察が推奨されています。脳下垂体より発生する下垂体腺腫もよく見つかりますが、視神経への接触がない場合はMRIおよび下垂体ホルモンを定期的に検査します。また、くも膜嚢胞や松果体嚢胞、ラトケ嚢種などの嚢胞性腫瘤も同様にMRIで経過観察します。以上の腫瘍の経過観察中に増大傾向があれば手術や放射線療法などの治療を検討することになります。またグリオーマなどの悪性腫瘍が強く疑われる場合は手術により組織診断しますが、疑診例に対しては、2ヶ月後に再度MRIを行った後に生検術を考慮することになります。いずれの脳腫瘍も個々の症例ごとに方針が異なるため、早めに専門医を受診する必要があります。


【Vol.88】「脳ドック」へ行ってきました(その3)

Q)脳ドックで“脳動脈瘤”が見つかったのですが

A)日本の成人の2~6%に、未破裂の脳動脈瘤があるといわれています。脳動脈瘤が破裂すると、その多くがくも膜下出血を起こして生命の危険や重篤な後遺症を残す可能性があります。脳ドックで未破裂脳動脈瘤が見つかった場合、開頭によるクリッピング術や血管内手術の予防的治療を受けることが可能です。しかしながら、脳動脈瘤は必ず破裂するわけではなく、破裂せずに生涯をおくられる方も大勢います。脳動脈瘤の破裂率は年間1%程度と報告されています。一方、予防のための治療にもわずかながら合併症や後遺症のリスクがあるため、慎重に治療を選択する必要があります。ガイドラインによれば、年齢が70歳以下で動脈瘤の大きさが5mm以上であれば手術を検討するとされていますが、動脈瘤の位置や形状による手術の難易度、高血圧などの危険因子を考慮して臨機応変に判断することになります。手術を選択しない場合は、血圧をコントロールし、1年に1回は瘤の大きさの変化を確認することが大切です。