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※診療の予約は不要です(MRIの予約は可)
※必要に応じて当日のMRI/CT検査も行います

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メディア情報

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【Vol.137】血管いきいき教室(9)

Q)メタボリックシンドロームにはどう対処しますか?

A)脂肪細胞からは、いくつかの重要な生理活性物質(サイトカイン)を分泌されます。メタボリックシンドローム(メタボ)とは、内臓脂肪が過剰に溜まることで悪玉サイトカインが増えていき、血圧が上がり、インスリンの働きが悪くなり複数の生活習慣病が同時に発症してくる状態です。糖尿病、高血圧、脂質異常症のそれぞれが軽度でも、複数集まることで動脈硬化を進行しやすくなります。メタボは、食べ過ぎや運動不足など不健康な生活習慣を改善することで、一度に予防することが可能です。まずは、腹八分を心がけることが欠かせません。米、野菜、豆類、魚介類、海草を多くとる日本食はバランスのよい食事です。豆類、芋類、きのこ類、海藻類にはインスリンの働きを低下させない食物線維が多く含まれています。また野菜にはビタミンやカロチノイドなど油脂成分の酸化を防ぐ作用があり、動脈硬化を予防します。


【Vol.136】血管いきいき教室(8)

Q)メタボリックシンドロームと肥満症は違いますか?

A)「肥満」とは、身体に必要以上の脂肪が溜まっている状態のことです。「体重÷身長の2乗」で算出されるBMIが基準に用いられ、BMI25以上が肥満と判定されます。その中でも、肥満に起因する健康障害が1つ以上あるか、健康障害を起こしやすい内臓脂肪蓄積があれば、「肥満症」と呼び、医学的減量が必要です。脂肪は、太ももやお尻に付く皮下脂肪と、胃や腸などおなかに付く内蔵脂肪に分けられます。「メタボリックシンドローム」は内臓脂肪蓄積(へその高さで腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上)が必須項目で、高血糖(空腹時110mg/dL以上)、血圧高値(収縮期/拡張期130/85mmHg以上)、脂質異常(中性脂肪150mg/dL以上・HDL40mg/dL未満)の基準のうち2つ以上を満たすと診断され、糖尿病、高血圧症、脂質異常症の一歩手前の段階で、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります。


【Vol.135】血管いきいき教室(7)

Q)EPAは動脈硬化予防になりますか?

A)イコサペンタエン酸(EPA)は不飽和脂肪酸のなかのオメガ3に分類され、中性脂肪を減らし、善玉(HDL)コレステロールの働きをよくして、細胞からコレステロールを引く抜く能力を高めます。また血液をサラサラにして、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血栓をできにくくする効果や、血管の弾力性を保ちプラークを破れにくくする作用もあります。脳卒中ガイドラインでも脂質異常症の患者において、EPAとスタチンの併用が脳卒中再発予防に推奨されています。EPAは植物プランクトンに多く含まれており、食物連鎖の結果、魚の体内に蓄積され、特にいわし、まぐろ、さば、ぶり、さんまなどの青魚に多く含まれます。EPAは油の一種なので、なるべく脂が落ちない調理法がおすすめです。医薬品やサプリとしても扱われていますが、抜歯や手術などの前には休薬したほうがよい場合もありますので医師へご相談ください。


【Vol.134】血管いきいき教室(6)

Q)調理用の油はどれがお勧めですか?

A)食品に含まれる脂質は、体内の中性脂肪と同様、脂肪酸とグリセリンから成り立っています。食品によって脂肪酸の種類は異なります。飽和脂肪酸は、悪玉(LDL)コレステロールを増やします。不飽和脂肪酸は常温で固まりにくいのが特徴ですが、その中で一価不飽和脂肪酸のオレイン酸はオリーブ油などで、LDLを減らします。多価不飽和脂肪酸はオメガ3とオメガ6に分けられます。オメガ3にはエゴマ油や亜麻仁油などのα-リノレン酸と青魚に含まれるDHA・EPAとがあり、LDLと中性脂肪を下げる働きがあるので摂取が推奨されます。オメガ6のリノール酸はごま油やコーン油などで、善玉コレステロールまで減らすおそれがあり摂りすぎ注意です。不飽和脂肪酸の一種のトランス脂肪酸は、加工や精製によって生じるもので、マーガリン、ショートニングや菓子類に多く含まれており、LDLを増やすため摂りすぎは禁物です。


【Vol.133】血管いきいき教室(5)

Q)卵はコレステロールに関係ないのでしょうか?

A)コレステロールには「食物中」と「血液中」の2種類があります。どれくらい食べると血液中に移行するかは個人差がありますが、体内のコレステロールの7割程度は肝臓で合成されたものです。2015年に食品中コレステロール摂取の基準値がなくなり、数値の正常な人はあまり気にしなくても良いことになりました。ただし悪玉(LDL)コレステロール値が高い人には、摂取量を制限すると検査値が改善する人もおり、1日200mg未満(卵1個で250mg)にすることで、心血管疾患を予防できる可能性があるとされています。LDL値に影響するのは飽和脂肪酸で、肝臓にあるLDLの受容体の合成を抑え、LDLの回収がうまくいかず血液中に増えてしまうのです。飽和脂肪酸は常温で白く固まるのが特徴で、肉の脂肪やバター、マーガリン、生クリームなどの乳製品に多く含まれ、豚バラ肉は卵の5倍以上です。


【Vol.132】血管いきいき教室(4)

Q)脂質の血液検査には、どのようなものがありますか?

A)コレステロールや中性脂肪は、水になじみやすいリポたんぱくに乗って血液中を移動します。悪玉のLDLは全身の細胞にコレステロールを運び、善玉のHDLは全身の細胞から余ったコレステロールを回収します。LDLが必要以上に増えると、配達と回収のバランスが乱れ、血管の壁にたまって動脈硬化が進行します。中性脂肪を主に運ぶカイロミクロンやVLDLは、食事量が多いほど増え、移動の途中で超悪玉のレムナントや小型LDLに変化します。レムナントはマクロファージに取り込まれプラークを作りやすく、小型LDLは血管内皮下へ侵入しやすく、どちらもLDL以上に動脈硬化を引き起こしやすい性質があります。レムナント等が含まれるnon- HDL(総悪玉)値は総コレステロールからHDLを引いて算出される新しい指標で、LDL、HDL、中性脂肪の値と共に脂質異常症の診断基準にも採用されています。


【Vol.131】血管いきいき教室(3)

Q)動脈硬化の危険因子にはどのようなものがありますか?

A)コレステロールと中性脂肪はともに人の体に不可欠な脂質の一種です。コレステロールは細胞膜の構成成分となり、副腎皮質ホルモンや胆汁酸の材料にもなります。「コレステロール値が高いほうが長生きできる」という話を聞いたことがある人がいるかもしれません。肝臓病やがんなどの病気や寝たきりで低栄養状態になると数値が異常に下がることがあるため、低値になることで死亡率が上がると一部で誤って解釈されています。コレステロールは体に必要な物質ですが、増えすぎると血管の壁にたまり動脈硬化を引き起こし、心筋梗塞や狭心症などの発症率が上がることは、多くの研究から明らかです。中性脂肪は体を動かすエネルギー源であり、余った分は皮下脂肪や内臓脂肪として溜め込まれますが、増えすぎると間接的に動脈硬化を引き起こします。また高血圧・高血糖・喫煙・加齢も危険因子となります。


【Vol.130】血管いきいき教室(2)

Q)動脈硬化の検査にはどのようなものがありますか?

A)動脈硬化を調べるには①体の外から血管を観察する方法(エコー・CT・MRI等)②カテーテルを血管に挿入する方法(冠動脈造影等)③両手・両足首の4ヵ所の血圧を同時に測定し血管の硬さを調べる方法(CAVI・ABI)があります。その中でも頸動脈エコーは頸部に超音波をあてることで、簡単に動脈硬化の進み具合を調べることが出来る検査です。痛みや被爆する危険性がなく、安心して検査を受けられ、頸動脈の血管壁の状態と共に血流を観察することも可能です。動脈硬化の指標のひとつが「内膜中膜複合体肥厚度(IMT)」と呼ばれる動脈壁の内膜と中膜を併せた厚さです。IMTが1.1mmを超えると動脈硬化と診断され、進行の目安となります。また血管壁に限局性の肥厚がみられる場合はプラークと呼ばれ、プラーク破綻により血栓が形成して頸動脈が狭くなると脳梗塞のリスクが高くなります。


【Vol.129】血管いきいき教室(1)

Q)動脈硬化とは何ですか?

A)日本人の死因のうち、心疾患15.2%、脳血管疾患8.7%と約4人に1人の方が動脈硬化関連で亡くなっています。昨年、山口市主催の血管いきいき教室で「動脈硬化と脳卒中を予防しよう」の演題で講演したので解説していきます。
動脈は内膜(血流に触れる面)、中膜、外膜の3層構造を成しています。内膜の血管内皮細胞は血管壁と血流を分けるバリアで血管を守る働きがあります。生理的な加齢や高血圧、高血糖、脂質代謝異常などの危険因子により、血管内皮細胞が傷ついてバリア機能が弱まると、血管壁の中にLDLコレステロールなどの異物が侵入して、活性酸素の影響で酸化コレステロールに変わります。血管壁の中へ侵入した白血球がマクロファージに変化して、酸化コレステロールを貪食して泡沫細胞となり、脂肪のかたまりとなって血管壁内に蓄積し、やがてコブ(プラーク)が隆起して、次第に血管壁全体が厚く硬くなるのです。


【Vol.128】頭痛ア・ラ・カルト(9)

Q)片頭痛の予感がしたら

A)片頭痛には多様な誘発因子があり、気圧や温度、湿度、風、雷などの天候の変化は重要な環境因子です。近年、熱波や豪雪、豪雨、強大化する台風などの異常気象が頻発しており、症状の悪化や多様化、慢性化などに関わると考えられます。片頭痛の経過は予兆期、前兆期、頭痛期、回復期の4期に分類されますが、異常気象への対応には、起点である予兆期への着目が重要です。予兆期における頭痛発作の阻止・軽減を目的とする新たな治療戦略を提唱し「予兆療法」と命名しました。予兆を自覚した時のみの服用を原則とし、毎日の服用はいりません。頭痛発作を直前に回避するため不安が軽減され、鎮痛薬乱用による頭痛の防止にもなります。
先月開催された第46回日本頭痛学会総会のシンポジウム「異常気象時代の片頭痛治療」で予兆療法について発表しました。当院ホームページ、日刊ゲンダイDIGITAL、日経メディカルオンラインでも掲載しています。