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※診療の予約は不要です(MRIの予約は可)
※必要に応じて当日のMRI/CT検査も行います

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メディア情報

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【Vol.67】先ずは脳卒中を知ろう(6)

Q)頚静脈的血栓溶解療法(t-PA)について教えてください。

A)脳卒中に関するアンケートの【質問4】は「脳梗塞に対する治療法の1つである頚静脈的血栓溶解療法(t-PA)を御存知ですか」でした。
脳の血管が動脈硬化で狭くなると、その部分に血栓が出来て詰まってしまいます。そこで血栓によって詰まった時点でt-PAという血栓を溶かす薬を静脈注射すると、血栓が溶けて先の方へ流れて行くため血流は回復するのです。
t-PAを知っていると解答されたのは16%でした。その方々には質問5へすすんでいただきました。
【質問5】は「頚静脈的血栓溶解療法(t-PA)は発症してどのくらいまでに開始しなければならないでしょうか」でした。答えは3時間です。神経細胞が死なないうちに血栓を溶かす必要があるからです。
この質問に対してはt-PAを知っている方の65%の方が正解しました。
このように脳梗塞の診断と治療は時間との戦いです。アメリカでは1990年代の後半からタイム・イズ・ブレイン、時は脳なりの合い言葉で脳卒中患者の緊急搬送のキャンペーンが行われています。心臓のハートアタックに対してブレイン・アタックという言葉も使われています。


【Vol.66】先ずは脳卒中を知ろう(5)

Q)脳卒中診療の発展について教えてください。

A)脳卒中の診療はこの20年程の間に発展してきました。まずは画像診断が著しく進歩してきました。CTが出現して脳の中が見えるようになって脳出血の診断が100%つくようになり、次にMRIの登場により脳梗塞の超早期の診断が可能になり、MRAにより針を刺さずに血管の状態もわかるようになりました。さらに超音波検査にて首の血管の動脈硬化や狭窄の状態もくわしくわかるようになりました。
このような画像診断だけでなく、治療法もまた進歩してきています。特に近年、外科的治療に対して血管内治療が台頭してきました。くも膜下出血(脳動脈瘤)におこなっていた開頭クリッピング術に対して、血管内より動脈瘤内にコイルを充填して血栓化させる血管内塞栓術の技術はすでに確立しています。また頚動脈狭窄におこなっていたプラークを切り取る頚動脈内膜剥離術(CEA)に対して、血管内より狭窄を広げる頚動脈ステント留置術(CAS)が発展してきております。
さらに2005年に脳梗塞に対する頚静脈的血栓溶解療法(t-PA)が認可され脳梗塞の治療は大きく変貌をとげました。


【Vol.65】先ずは脳卒中を知ろう(4)

Q)一過性脳虚血発作について教えてください。

A)脳卒中に関するアンケートの【質問3】は「一過性脳虚血発作とはどのような病状かをご記入ください」でした。
答えは“脳卒中の前触れ”なのですが、正解された方はいませんでした。
一過性脳虚血発作(TIA)の症状は脳卒中と全く同じなのですが、数分から十数分、遅くとも24時間以内に症状が回復して完全に元の状態に戻ってしまうのです。
血栓が脳血管に一時的に詰まるのですが、血栓がすぐに溶けることで症状が消えてしまうのです。
TIAは大きな脳梗塞の前触れとも考えられており、TIAを経験した人の20~30%は、数年以内に脳梗塞を発症することがわかっています。また脳梗塞の患者さんの15%が発症前にTIAをおこしています。よって症状は短時間でも放置せず、その時点で精密検査を受けることが必要なのです。
TIA患者の31~79%に首の血管(頸動脈)の狭窄性病変が存在します。動脈硬化になると血管壁の内膜にプラークを形成して、血液の通り道が狭くなります。プラーク表面に出来た血栓が剥がれて末梢に飛んでいくとTIAや脳梗塞を引き起こすのです。


【Vol.64】先ずは脳卒中を知ろう(3)

Q)脳卒中の症状について教えてください。

A)脳卒中に関するアンケートの【質問2】は「脳卒中の症状を5つ簡単にご記入ください」でした。もちろん脳卒中の症状は5つ以上あるわけですが、アメリカでは心臓協会(AHA)が脳卒中の警告症状として、①運動障害・感覚障害、②視力・視野障害、③言語障害、④めまい・平衡機能障害、⑤突然の頭痛の5つをあげています。具体的には急に片方の顔や手足がしびれる、力が入らなくなる、急に片方の目が見えにくくなる、急に呂律が回らなくなる、言葉が出なくなる、理解できなくなる、めまいがしたり、バランスがとれなくなる、突然頭が痛くなるといった症状です。
アンケートでは1つ以上の正解率は39%でした。また5つ全ての正解の方はいませんでした。さらに症状別に正解率を集計したところ、運動・感覚障害は比較的皆さん御存知のようですが、視力・視野障害に関しては正解率が低い結果となりました。片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠けるといった目の症状が出現したら、脳卒中を疑って速やかに受診する必要があるのです。


【Vol.63】先ずは脳卒中を知ろう(2)

Q)脳卒中の種類について教えてください。

A)前回の脳卒中に関するアンケートの【質問1】は「脳卒中には3つの種類があるのですが、わかる範囲でご記入ください」でしたが、答えは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つでした。3つ全ての正解率は4.5%で、1つ以上の正解率は31%でした。脳卒中は大きく血管が詰まるタイプの脳梗塞と、血管が破れて出血するタイプの脳出血とクモ膜下出血に分類されます。さらに脳梗塞は脳血栓症と脳塞栓症、脳血栓症はラクナ梗塞とアテローム血栓性脳梗塞に細分類されます。
ラクナ梗塞は高血圧のために脳の細い血管が詰まっておこる小さな脳梗塞です。アテローム血栓性脳梗塞は比較的大きな動脈が動脈硬化をおこして細くなったり詰まったりしておこる中程度の脳梗塞です。脳塞栓症は心臓に出来た血栓が流れて来て大きな血管に詰まっておこる大きな脳梗塞です。
次に出血するタイプですが、脳出血は脳の細い動脈が壊死して破れて脳の中に出血してしまうものです。それに対してクモ膜下出血は脳の大きな動脈に出来た脳動脈瘤が破れて脳の表面のくも膜の下に出血してしまうものです。


【Vol.62】先ずは脳卒中を知ろう(1)

Q)脳卒中について教えてください?

A)「脳卒中」とは「卒然として邪風に中(当)たる」、つまり突然、悪い風に当たって倒れると言う意味で、平安時代から「中風・中気」とも呼ばれています。現代的には突然おこる脳の血管のトラブルを総称して呼ばれます。脳卒中は我が国の死因の第2位であり、寝たきりになる原因の第1位でもあるため、その対策は急務の課題の1つです。脳卒中を克服するには脳卒中について知ることが重要です。今回脳卒中の関するアンケートを実施しました(以下5項目)。【質問1】脳卒中には3つの種類があるのですが、わかる範囲でご記入ください。【質問2】脳卒中の症状を5つ簡単にご記入ください。【質問3】“一過性脳虚血発作”とはどのような病状かをご記入ください。【質問4】脳梗塞に対する治療法の1つである経静脈的血栓溶解療法(t-PA)をご存知ですか?【質問5】t-PAは発症してどのくらいまでに開始しなければならないでしょうか?アンケート結果については6月6日(土)に山口県健康づくりセンターで開催されます脳卒中の市民公開講座で報告致します。また次回以降詳しく解説致します。


【Vol.61】あなたの、いつも頭痛を見つめ直して(24)

Q)片頭痛発作の回数が増えたのですが?

A)片頭痛に二次性頭痛を合併すると頭痛発作が増える可能性があります。鎮痛薬の飲み過ぎであれば薬物乱用頭痛が疑われますが他の要因も考えられます。男性は月に1~2回、女性は月4~6回を超える発作がある場合はMRI・MRA、血液検査、脳波などで器質的疾患が隠れていないか検索する必要があります。特に副鼻腔炎(蓄膿症)を合併すると痛みの程度や回数が増える傾向があります。片頭痛は脳の血管周囲の神経の炎症による痛みですが、蓄膿症の細菌性の炎症物質が増悪因子となるからです。また眉間の奥のほうにある脳下垂体にできる良性の腫瘍も三叉神経を刺激して片頭痛に似た痛みが現れることがあります。脳下垂体のようにCTでは鮮明に映らない場所はMRIによる確認が必要です。また甲状腺機能亢進では片頭痛様の痛みが増加し、機能低下では緊張型頭痛様の痛みが増加します。三叉神経領域の浅在性帯状疱疹や微小脳下垂体腺腫による高プロラクチン血症も痛みの閾値を低下させ、片頭痛の頻度を増やします。片頭痛は脳以外の病気にも目を向ける必要があるのです。


【Vol.60】あなたの、いつも頭痛を見つめ直して(23)

Q)緊張型頭痛の対処法はありますか?

A)「緊張型頭痛」は頭や首のこりが原因でおこる頭痛ですから、筋肉の血流を改善させ、筋肉内の疲労物質を洗い流すことで改善します。後頭部や首のこったところのマッサージをする、首・肩・腕などを回すストレッチをする、ゆっくりお風呂に入る、蒸しタオルなどで首筋をあたためるなどの対処が有効です。気分転換をかねて、ジャスミン茶やハーブティーなど好みのお茶で一服したり、適度なアルコールをたしなむのもよいでしょう。それでも改善しない場合は鎮痛薬や筋肉のこりをほぐす薬などを使って治療します。
頭痛の誘因となる、ストレスをためやすい生活習慣を見直すことも大切です。仕事で長時間同じ姿勢をとらなければならない場合は適度に休息を入れる、前かがみや肩を丸めていないかなど姿勢を頻繁にチェックする、散歩やジョギング、水泳などの適度な運動を毎日続けるなどの工夫をしましょう。
また、高すぎる枕、合わない眼鏡、眼鏡や帽子による締め付け、歯の噛み合わせの異常なども原因となりますので、思い当たることがあればチェックしてみてください。


【Vol.59】あなたの、いつも頭痛を見つめ直して(22)

Q)緊張型頭痛はどのような頭痛ですか?

A)頭や首の筋肉の収縮によっておこる「緊張型頭痛」は、慢性頭痛のなかでも最も多いタイプの頭痛です。片頭痛のように、日常生活に支障をきたすような激しい痛みではありませんが、毎日だらだらと続くため、“いつも頭がすっきりしない”とか“脳が悪い”などと訴えられます。吐き気や嘔吐、光や音、においに過敏になるといった症状はありませんが、フワフワとした感じの一瞬のめまいを伴うことがあります。
頭から首、肩にかけての筋肉が緊張すると、血流が悪くなり、筋肉の中に乳酸などの疲労物質がたまります。その結果、周りの神経が刺激され、孫悟空の金輪で締め付けられるような痛みが起こってくるのです。緊張型頭痛の痛みは、“帽子をかぶっているような感じ”とか、“後頭部がしびれたような感じ”と表現されることもあります。
頚椎(首の骨)の変形や、正常な彎曲(前に向かって反る)の消失は筋肉に負担をかけて緊張型頭痛をおこしやすくなります。またコンピューター作業など長時間の同じ姿勢や、心配や不安などの精神的ストレスも誘因となるのです。


【Vol.58】あなたの、いつも頭痛を見つめ直して(21)

Q)子どもの片頭痛の治療はどうしますか?

A)片頭痛の子どもは低血圧気味のことが多いため、よく立ちくらみをおこします。また乗り物酔いをしやすいのも共通しています。また体育や部活の時間に頭痛がしてきて保健室で休むことが多くなります。運動をすると脳の血管が拡張するため、片頭痛の発作が起きやすくなるからです。
子どもの頭痛に対しては、安全性を考慮して鎮痛薬を使用しますが、頭痛の状態によってはトリプタン(片頭痛専用の薬)を使用する場合もあります。また吐き気が強い場合は制吐薬の投与も考えられます。頭痛の発作時間が短い場合はあえて薬を飲ます必要はありませんが、頭痛を必要以上に我慢させるのはよくありません。学校などにも薬を持参させ、頭痛あるいは前兆が始まったらできるだけ早く服用させるのもコツです。頭痛時に休息や睡眠ととらせるのも効果的なので、担任の先生に理解しておいてもらうことも大切です。片頭痛の発作の頻度が多かったり、学校や幼稚園を休みがちなどの場合は、頭痛を起こりにくくしたり痛みの程度を軽くするための予防薬を使用します。